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Arcブラウザの新規開発が止まってもなお、離れられない

はじめに

2025年5月、Arc ブラウザの開発元である The Browser Company が、Arc の積極的な開発を停止し、新しい AI ブラウザ「Dia」に注力することを発表した

また、それ以外もChatGPT Atlas, Cometなど、様々なAIブラウザが台頭しようとしている。

そもそも開発が止まったプロダクトを使い続けるのはリスクがあるので、このニュースを聞いた時、そろそろ別のブラウザに移行しないとなとは思った。セキュリティパッチは提供されるとはいえ、新機能は追加されない。

泣く泣くChrome や Zen Browser などを試してみたが、やはりArc の UX が良すぎて、他に移行する気に今のところなれていない。

改めて、なぜ私がArcブラウザから離れられないかを考えるとともに、自分がブラウザに求めていることを整理してみようと思う。

なぜ離れられないのか

1. サイドバー中心のタブ管理が洗練されている

Arc は従来の横並びタブではなく、左サイドバーにタブを縦に並べる設計になっている。自分はウルトラワイドモニターを使っているので、サイドバーにタブを置いても表示領域を圧迫せず、むしろ横長の画面を有効活用できる。

これはDiaやZen Browserでもできるのだが、個人的にはどうしても後付け感が否めない…

それと、AIブラウザを使うと基本的に右側にチャットのバーが表示されることが多くて、その分スペースが埋まってしまい中々慣れない。

Split Viewの表示例
Diaでサイドバー表示をしつつチャットを開くと、メインのブラウザ領域がかなり狭くなる

Arcブラウザは元々このサイドバーが設計思想の根幹にある感じがする。Space(ワークスペース)単位でタブをグルーピングできたり、Split View で複数タブを1つのウィンドウ内に横並び・縦並びで表示することもできる。

Split Viewの表示例
Split View で複数タブを1つのウィンドウ内に並べて表示できる

このサイドバーが中心となっている構造がすごく気に入っている。

2. 外部アプリからのリンクのプレビュー(Little Arc)

※Windows 版ではこの機能は利用できないようです。

正直これのためにArcを使っていると言ってもいい。

自分の場合、業務中や開発中に外部アプリからURLを開くタイミングは数え切れないほどある。

  • slackで共有されたURLを開く
  • ターミナルでClaude Codeに調査させた結果のURLを開く
  • エディタでコード内コメントに記載されているドキュメントのURLを開く
  • Notionアプリからタスクの内容に記載してあるURLを開く

などなど。

そして他のブラウザを使っていると、リンクを開く度に別ウインドウで表示しているブラウザに画面が切り替わり、新規タブで開く。そして見終わったらSlackなどの元のアプリに戻り、元々やってた作業に戻る。そして大体タブはずっと残ったまま。

Arcブラウザであれば、「Little Arc」という小さなプレビューウィンドウを開いてくれる。

SlackからLittle Arcでリンクを開く
Slack のリンクをクリックすると、Little Arc が小さなウィンドウで内容をプレビューしてくれる

メインのブラウザウィンドウに影響を与えず、サッと内容を確認して閉じられる。いちいちタブが増えないので、集中が途切れない。

この体験に慣れた後で他のブラウザを使うと、URLを開く度に余計な視覚情報が入ってくるし、フロー状態が途切れる感覚を強く感じてしまう。

3. GitHub との連携が勝手にされている

これは開発者にとって地味に嬉しい。Arc は GitHub との連携が組み込まれていて、自分が作成した PR や、レビューリクエストが来ている PR が自動的にサイドバーに表示される。

わざわざ GitHub を開いて通知を確認しにいかなくても、ブラウザのサイドバーをチラッと見るだけで自分に関係のある PR を把握できる。

GitHub Live Foldersのデモ
GitHub の PR やレビューリクエストがサイドバーに自動で表示される

4. タブの自動アーカイブで毎朝まっさらになる

これはChrome拡張などを使えば簡単にできることかもしれないが、デフォルトでこれをやってくれるという点が嬉しい。

Arc のタブは、一定時間(デフォルトは12時間)操作しないと自動的にアーカイブされる。つまり、次の日にブラウザを開くと、ピン留めしたタブ以外はすべてきれいに消えている。

最初はタブが消えるのは不安だったが、実際に使ってみると 何の不便もない

本当に必要なページは検索すればすぐに見つかるし、ピン留めしておけば残る。むしろ、毎朝まっさらな状態から始められることで、余計な情報に目が入らず、その日やりたいことからフォーカスできる。

前日見ていたタブが大量に溜まった状態から業務を始めて、整理しようとしても「これ後で見るかもな…」という感情が出てしまう優柔不断な自分にとっては、勝手にすべて消えるのはすごくありがたい。

自動アーカイブの設定画面
自動アーカイブの設定画面。アーカイブまでの時間を調整できる

自分がブラウザに求めていること

できるだけ速くブラウジングという作業を終わらせること

私は集中が散漫になりやすい。不要な情報が目に入るとすぐにそれに注意をむけてしまうし、何の作業をやっていたかすぐ忘れる。そんな自分には無駄な作業やいらない情報が少しでも入らないような仕組みが必要だと思っている。

LLMの台頭によって単調な作業や調査はAIに依頼できるようになり、より作業の中断やスイッチングが生まれるようになった。これによって最近はよりフロー状態から外れやすくなっていると思う。

Arcブラウザはその仕組みをプロダクトで一貫して提供しているような意図を感じる。Arcブラウザを使っていると、自分の集中状態を維持し続けられやすい。

開発作業の中で細切れに生まれるブラウジングという作業が、早く脳の作業メモリから解放できるような感覚がある。

おわりに

Arc ブラウザをいつまでも使っているので、なぜ離れられないかを改めて考え直してみた。やはりこのブラウザ独自の良さが残っているので、しばらくは使い続けると思う。

垂直タブ、Split View、Little Arc、自動アーカイブなど、それぞれを個別に見れば他のブラウザでも代替できる機能はある。でも、それらが一つのプロダクトとして一貫した思想のもとに統合されている体験は、私の観測範囲ではまだ見つかっていない。

もちろん、開発が止まったプロダクトを使い続ける不安はある。新しい Web 標準への対応が遅れる可能性、Chromium のベースアップデートがいつまで続くか不明な点、そしてThe Browser Company が Atlassian に買収されたことで Arc の将来がさらに不透明になっている点。合理的に考えれば、どこかで移行すべきだとは思っている。

でも今のところ、Zen Browser や Vivaldi など垂直タブに対応したブラウザを試しても、Arc の「全体の統合感」には及んでいない。 あわよくばDiaなどに似たような機能が今後追加されることを願っている。

もし同様の体験を提供しているブラウザがあれば、ぜひ教えてください。

参考